相談の概要 銀行の支店長をしています。 私の支店でも毎年成年後見制度を利用されるお客様が増えてきていますが,最近,ふとしたことから後見人の住所が変更されていることに気づきました。 従前私の支店のお客様8人の成年後見人に就任している弁護士の方で,私とも顔なじみの方なのですが,自宅を新築されることになり,私の支店で住宅ローンのお世話をさせていただきました。そして,先日また新しく1人の成年後見人に就任されたということで届出に見えられた際,ご自宅が完成して引っ越したという話題になり,従前の届出の際と違う住所で届出を受けました。このため,同じ弁護士の方なのですが,従前の8人の方と成年後見人の住所が異なっています。これについて何か対応することはあるでしょうか。 |
ご回答 従前の8人の後見届出について住所変更の手続をとる必要があると考えます。 銀行の顧客である自然人について成年後見,保佐,補助,任意後見が開始した場合,銀行はその成年後見人,保佐人,補助人,任意後見人についても本人確認をする必要があり(「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下「犯罪収益移転防止法」といいます。)2条1号,4条1項柱書,4条1項1号,4条4項),本人確認をしたときは,直ちに,「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則」17条で定める方法により,当該取引時確認に係る事項,当該取引時確認のためにとった措置その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下「確認記録」という。)を作成しなければならないとされています。 加えて,銀行は,「取引時確認,取引記録等の保存,疑わしい取引の届出等の措置を的確に行うため,当該取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるものとするほか,使用人に対する教育訓練の実施その他の必要な体制の整備に努めなければならない。」とされています(犯罪収益移転防止法10条)。 したがって,銀行としては,その後見人の弁護士の方の従前の8人の被後見人に関する届出についても。住所変更届の提出を求めるなどして住所の変更をする必要があると思います。 |
弁護士 田上尚志(平成25年10月18日) |
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