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民事再生申立てにおける債権者一覧表の記載事項。


 相談の概要

 民事再生(小規模個人再生・給与所得者再生)の申立てに当たり,住宅資金貸付債権と別除権付債権を債権者一覧表に記載する必要がありますか。ある場合にはどのように記載したらよいでしょうか。         

 ご回答

 小規模個人再生及び給与所得者再生の場合には,申立ての際,副本を添付して債権者一覧表を提出しなければならないとされており(民事再生法221条3項,同244条,民事再生規則114条,同140条),その記載事項は以下のとおりです。
 再生債権者の氏名又は名称並びに各再生債権の額及び原因(民事再生法221条3項1号) 
 別除権者については、その別除権の目的である財産及び別除権の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる再生債権の額(以下「担保不足見込額」という。)(民事再生法221条3項2号)  
 住宅資金貸付債権については、その旨 (民事再生法221条3項3号)
 住宅資金特別条項を定めた再生計画案を提出する意思があるときは、その旨(民事再生法221条3項4号) 
 再生債権者の住所、郵便番号及び電話番号(ファクシミリの番号を含む。)(民事再生法221条3項5号,民事再生規則114条1項1号) 
 法第84条(再生債権となる請求権)第2項各号に掲げる請求権(生手続開始後の利息の請求権,再生手続開始後の不履行による損害賠償及び違約金の請求権,再生手続参加の費用の請求権)については、その旨 (民事再生法221条3項5号,民事再生規則114条1項2号)
 執行力ある債務名義又は終局判決のある債権については、その旨(民事再生法221条3項5号,民事再生規則114条1項2号) 
 ところで,住宅資金貸付債権については,民事再生法196条3号に定義規定があり,「住宅の建設若しくは購入に必要な資金(住宅の用に供する土地又は借地権の取得に必要な資金を含む。)又は住宅の改良に必要な資金の貸付けに係る分割払の定めのある再生債権であって、当該債権又は当該債権に係る債務の保証人(保証を業とする者に限る。以下「保証会社」という。)の主たる債務者に対する求償権を担保するための抵当権が住宅に設定されているものをいう。」と定義されます(再生債権については,民事再生法84条に定義規定があります。)。すなわち,住宅資金貸付債権であっても再生債権に変わりはありませんから,民事再生法221条3項1号により債権者一覧表に記載しなければならず,さらに民事再生法221条3項3号によって,その債権が住宅資金貸付債権であることも記載しなければならないことになります。
 他方,別除権付債権も再生債権であれば,当然,民事再生法221条3項1号によって債権者一覧表に記載すべきことになります。
 さて,注意しなければならないのは,「債権者一覧表の記載の再生債権の合計額」と「再生債権の総額」は異なる概念であるということです。債権者一覧表には,住宅資金貸付であってもその債権額をそのまま記載し,別除権付債権であっても担保不足見込額ではなく再生債権の額を記載します。このようにして算出された金額が「債権者一覧表の記載の再生債権の合計額」となります。他方,「再生債権の総額」は,「債権者一覧表の記載の再生債権の合計額」から「住宅資金貸付の額の合計額」と「別除権の行使により弁済が見込まれる額」を差し引いた金額となります。
 相談者の方が迷われているのは,「債権者一覧表の記載の再生債権の合計額」と「再生債権の総額」を混同したからではないかと思います。    
弁護士 田上尚志(平成25年02月08日) 

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