相談の概要 商品先物事件で大きな損失を被りました。弁護士に相談できますか。 |
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ご回答 できます。 ただし,商品先物事件は専門性が高いので,経験のある弁護士に相談することが必要です。 商品先物事件は,素人の方が手を出して損失を被ることが少なくありませんが,商品先物業者が適切な営業活動をしていない場合も少なくありません。そこで,弁護士が商品先物事件について相談を受けた場合,必ずやらなければならないことは,相談者の方の取引を客観的に分析することです。この取引分析において重要なことは,@損失額全体のうちどれくらいの金額が商品先物業者の手数料となっているか,A全体の取引のうち,通常ではやらないような異常な取引がどれくらいの割合を占めているか,B取引期間中,どれくらい頻繁に取引をしているかを把握しなければなりません。 商品先物取引はいわゆるゼロサムゲームですので,損失が出たからと言って必ずしも商品先物取引業者に不法行為が成立するとは限りません。 しかしながら,商品先物取引は元本保証のないリスクある取引ですので,年金生活者であるとか,あるいは公金取扱者であるとか,そもそも商品先物取引をすべきでない人に先物取引をさせたり,顧客にアドバイスをしながらその顧客と反対の建玉をしていたり,顧客の犠牲の下に不当な手数料稼ぎをしていたりする場合には不法行為が成立します。 商品先物取引業者と交渉したり,訴訟を提起する場合には,このような違法かつ不当な行為を見抜かなければなりませんが,取引分析は動かぬ証拠となる点で非常に重要なものだと思います。具体的には,商品先物取引業者に対し,委託者別勘定元帳(「イタカン」と略称されることが多いです。),委託者別証拠金等現在高 帳(ダカチョウ)と略称されることが多いです。)の開示を請求し,これらを分析し,@損失額全体のうちどれくらいの金額が商品先物業者の手数料となっているか(手数料化率),A全体の取引のうち,通常ではやらないような異常な取引(特定売買)がどれくらいの割合を占めているか(特定売買比率),B取引期間中,どれくらい頻繁に取引をしているか(月間回転率)を把握しなければなりません。私は,手数料化率10パーセント,特定売買比率20パーセント,月間回転率3回以内のいずれかを超えれば,違法であると考えています。 ところで,通常ではやらないような異常な取引(いわゆる特定売買)には,以下のものがあります。
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弁護士 田上尚志(平成25年01月06日) | |||||||||||||||||
参考文献・HP 津谷裕貴・大神周一・茨木 茂・石戸谷 豊著 民事法研究会 「実践 先物取引被害の救済」 |
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