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島根県益田市の法律事務所。田上法律事務所です。

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過払金返還請求についてOVERPAYMENT


過払金返還請求権について

 最近,テレビやラジオでよく,弁護士や司法書士が「過払金返還請求」の宣伝をしていますが,過払金返還請求を地元の弁護士に依頼することができるか解説致します。私としては,管轄の問題から,地元の弁護士に依頼した方が結果として大きな利益を得られるのではないかと考えています。実際,当事務所では,平成17年以来(前身である浜田ひまわり基金法律事務所,はまだ市民総合法律事務所の時代を含む),島根県西部地方(益田市,浜田市,江津市,吉賀町,津和野町,川本町,邑南町,美郷町)を中心に,多数の過払金返還請求事件を解決してきました。


過払金とは何でしょうか?

 最近,テレビやラジオでよく耳にする「過払金」とは,貸金業者・クレジットカード業者に対して払い過ぎた利息のことです。
 平成28年4月6日現在,利息制限法により,約定利率は,元本の額が10万円未満の場合は年2割,元本の額が10万円以上100万円未満の場合は 年1割5分に制限されており,貸金業者・クレジットカード業者からお金を借りる時にこれを超える利率で契約しても,この制限を超える部分は無効となります(利息制限法1条)。貸金業者・クレジットカード業者は,この制限を超えた金利で契約したり貸付を行ったりしてはならないとされており(貸金業法12条の8),この規定に違反した行為は行政処分の対象です(貸金業法24条の6の3)。さらに,年20パーセントを超える利率で契約したときは処罰対象となります(出資法5条2項)。
 しかし,平成22年6月18日の貸金業法第5次施行以前は,貸金業者による貸付についてのみ,みなし弁済制度(貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業規制法」ろいいます。)43条)が存在しており,@貸金業規制法17条にもとづく書面の交付,A貸金業規制法18条に基づく書面の交付,B利息としての任意の支払いの3つの要件を満たしている限り,利息制限法所定の約定金利を超えた貸付を行い,利息の支払いを受けることが法律上認められていました。とはいえ,当時も出資法が定めている上限金利に違反してしまえば刑事罰の対象となったので,貸金業者・クレジットカード業者は,自らは貸金業規制法43条を遵守しているという大前提のもと,利息制限法の制限を超える金利(年率24パーセントから29パーセント程度)で営業していたわけです。
貸金業者,クレジットカード業者が徴求していた利息制限法の上限金利を超え,出資法の上限金利以下の部分が,いわゆるグレーゾーン金利です。
 しかしながら,最高裁判所の判例の積み重ねによりこの3つの要件は非常に厳格に運用されるようになり,貸金業者がこの3つの要件を満たしていると認められる事例は事実上ほとんど存在しなくなりました。そして,多重債務による破産や自死の増加が社会問題化したことから,貸金業規制法は改正され,平成22年6月18日の貸金業法の施行により,みなし弁済制度も廃止されました。もっとも,貸金業者,クレジットカード業者の中には,貸金業規制法の改正を見越して,平成18年中から利息制限法超過金利の取得をやめたところも少なくありません。)。
 では,みなし弁済が成立しない場合に貸金業者,クレジットカード業者との債権債務関係はどうなるのでしょうか。
 貸金業者,クレジットカード業者からお金を借りる場合,継続的金銭消費貸借契約と言って,予め貸付限度額と定期的な返済額を定めておき,定期的な返済を続けている限り,貸付限度額の範囲内であればいつでも何回でもお金を借りることができるという取引形態であることが一般的です。基本的に分割払いです。利息制限法所定の上限金利を超える利息の支払いを受けた場合,利息制限法の範囲内の部分は利息として有効ですが,超える部分は無効なので,元本に充当されます。これを繰り返すと,次第に貸金業者,クレジットカード業者が主張する貸付額と真実の貸付額の差が大きくなり,私の経験では,取引を6年半くらい継続すれば過払状態に至っていることがほとんどでした。
 その後は,元本がないのに利息としてお金を支払っている状態が続くのですから,貸金業者,クレジットカード業者は,不当利得(民法703条,704条)として顧客に対してそのお金を返還しなければならないことになります。これが過払金です。


どのようなときに過払金が発生するのですか?

 概ね,以下の条件が揃えば過払金が発生しているといえます。
 @ 利息制限法超過金利であること(概ね平成18年以前に取引が開始されていること)
 A 6年半程度取引が継続していること


過払金返還請求訴訟は難しい事件なのでしょうか?

 テレビやラジオで宣伝している弁護士や司法書士がありますが,実は,弁護士にとって過払金返還請求事件は難しい部類の事件ではありません。貸金業者,クレジットカード業者には取引履歴の開示義務があり,開示された取引履歴をもとにパソコンの表計算ソフト(エクセル等)を利用して過払金の額を算出します。はっきり言って,取引履歴をもとに過払金の計算をすることは,弁護士ではなく,むしろ事務職員の仕事です。
 以前,パソコンが普及する前は,過払金の額を手計算,算盤や電卓で計算しなければならなかったので,過払金返還請求には大変な事務作業が必要でした。
 しかし,パソコンと表計算ソフトの普及によって劇的に業務量が減ったので,各地で大量の過払金返還請求訴訟が提起されることになったのです。
 
私は平成17年に浜田市に事務所を開いて以来,2000件程度は過払金返還請求訴訟を処理していますが,過払金返還請求訴訟は訴状に記載すべき事項がどれもほとんど同じなので,特に争点となる事実(取引途中でいったん完済していること等)がない事件では,穴埋め式訴状を準備しておいて,事務職員が計算し,穴埋め式訴状に必要事項を記載し,最後に私が決済する方法で大量に訴訟を提起していました。
                            


島根県の地元の弁護士でも過払金返還請求はできますか?。

 できます。普通の弁護士にとって過払金返還請求事件は難しい事件ではありません。取引履歴を開示させてパソコンで計算するだけですから,基本的に弁護士であればできなければならない事件です。テレビやラジオ,インターネットで宣伝している弁護士が,過払金返還請求について他の弁護士と隔絶した能力を有しているわけではありませんわずかな時間で過払金の有無を大体判断できると言っても,途中で中断などがなければ6年半で過払状態になるという経験則があるのですから,このことを知っていれば誰でも判断できることです。
 また,テレビやラジオ,インターネットで宣伝している弁護士や司法書士は,「相談無料」「着手金無料」を強調していますが,このようなことは地元の弁護士でもやっていることが少なくなく,実は特に珍しいことではありません。


地元の弁護士に過払金返還請求を依頼するメリットは何ですか?。

 裁判管轄です。素人の方はよく知らないことだと思うのですが,過払金返還請求訴訟を提訴する場合,管轄裁判所は被告となる貸金業者の本店所在地か原告となる過払返還請求者債権者の住所地となります。するとどうでしょう。地元の弁護士に依頼すれば,自分の地元の裁判所に提訴してもらえます。貸金業者,クレジットカード業者もできるだけ過払金を返したくないので,交渉だけで過払金を回収しようとすると,返還額の大幅な譲歩を求めてきます。私は,これまでの経験から,貸金業者,クレジットカード業者と裁判せずに交渉しても時間と労力の無駄であると考えていますので,取引履歴の開示を受けたら可及的速やかに計算し,計算が終われば即刻提訴します。提訴した場合でも大抵は裁判所の指揮下で訴訟上の和解等で解決するのですが,私のこれまでの経験では,提訴し裁判に持ち込むことで,貸金業者は判決による強制執行を意識せざるを得なくなり,こちらの主張が通りやすくなります。
 しかし,テレビやラジオで宣伝している弁護士や司法書士は,益田市や浜田市に事務所を構えているとは限りませんから,裁判をするとなると依頼者に旅費や日当を負担してもらわなければならなくなることがありえます。
 すなわち,自分の地元の裁判所で裁判ができ,結果的に貸金業者,クレジットカード業者と有利な交渉ができるということが,最大のメリットでしょう。
 また,過払金返還請求事件に限らず,依頼者と打ち合わせをしているときに,何気ない雑談めいた話から事件解決のヒントをつかむこともあります。依頼者とすぐに打ち合わせができることも,地元の弁護士に依頼する利点だと思います。


過払金返還請求に強い弁護士の見分け方を教えて下さい。

 私の経験からすると,以下のような仕事をしている弁護士は過払金返還請求訴訟に強いと考えて良いと思います。
 @ 実際に法廷に出向いて過払金返還請求訴訟を追行した経験が多数あること
 A みなし弁済規定を設けた貸金業規制法の施行日(昭和58年11月1日)以前に開始した取引についてはみなし弁済の規定は適用されないこと(貸金業規制法附則1条,同6条)を知っていること
 B 貸金業者,クレジットカード業者と過払金の返還に関する和解契約書を作成する際,貸金業者,クレジットカード業者が約束の期日までに支払わない場合には懈怠約款を設けていること(遅延利息ないし遅延損害金の支払義務を設けた規定)



  平成28年4月7日新規掲載

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