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島根県益田市の法律事務所。田上法律事務所です。

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遺言公正証書の謄本。


 相談の概要

 40代の女性です。
 この度,母が亡くなり,母の机を中を調べたところ,平成○○年第××号と記載され,さらに公証役場と公証人の氏名が記載された,「公正証書謄本」という題名の文書が出てきました。内容を確認すると,母の遺言書であり,母が生前公正証書遺言をしたと話していたことを思い出しました。ところが,この遺言書をよく見ると,最後に公証人の方の自筆の署名と捺印はあるのですが,「上記遺言者及び証人に読み聞かせたところ各自筆記の正確なことを承認し,次に署名し印を押す。」との文言の後,母の名と証人になった方の氏名は自署ではなく,印刷されており,押印もありません。これは本当に遺言公正証書の謄本なのでしょうか。        

 ご回答
 
   おそらく本物であると思います。

 あまり多くないのですが,公証役場で遺言公正証書を作成するのではなく,遺言者の自宅等に出張して遺言公正証書を作成する場合には,その場で直ちに遺言者に謄本を交付するために,便宜的な措置としてこのように遺言者や証人の自署がなく,その部分が印刷になっている謄本が交付されることがあるようです。このような謄本でも,原本証書の全文,謄本たることを示す文言,作成の年月日及び場所の記載があれば公正証書の謄本として有効なので,問題はありません(公証人法52条)。
 それでもなお気になるようでしたら,遺言公正証書の原本の閲覧(公証人法44条)や,改めて謄本の交付(公証人法51条)を求めてみたらいかがでしょうか。あなたはお母様の子として相続人となりますので,「法律上利害関係ノ関係ヲ有スル」者に該当し,原本の閲覧も謄本の交付も可能です(公証人法44条,公証人法51条)。
 ただし,遺言公正証書の原本の閲覧や謄本の交付請求には,印鑑証明書の提出(公証人法44条2項,同28条2項,公証人法51条2項)などの手続が必要ですので,事前にお母様が遺言をされた公証役場に手続や必要書類について問い合わせた方が良いでしょう。
 なお,遺言公正証書は,公証人法施行規則27条により20年間は保管されることになっていますが,実務上は遺言から20年経過しても遺言者がなお生存していることもありうるので,実務上はもっと長期間保管されていると思います。
     
弁護士 田上尚志(平成25年07月08日) 

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