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被補助人の遺言。

 被補助人の遺言。  

 相談の概要

 最近物忘れが多くなったので,認知症になったかと心配になり,親族に相談したところ,成年後見制度の利用を検討したらどうかと勧められました。そこで,主治医に診断してもらったところ,診断書に「自己の財産を管理・処分するには,援助が必要な場合がある。」と記載されました。知り合いの社会福祉士に聞いたところ,これは,成年後見制度における補助相当であるとのことでした。
 ところで私は,自分の財産について遺言書を書きたいと考えていますが,私について補助が開始した場合,遺言をすることはできるでしょうか。        

 ご回答
 
 補助が開始しても遺言は不可能ではありませんが,内容に事実上一定の制限が及ぶ可能性はあります。

 遺言をするには,行為能力までは必要なく,事物に対する一応の判断力,すなわち意思能力があれば足りると考えられています。このことは,民法962条が,「第5条、第9条、第13条及び第17条の規定は、遺言については、適用しない。」と定め,遺言について未成年者,成年被後見人,被保佐人及び被補助人の行為能力の制限に関する民法5条,同9条,同13条及び同17条の適用を明文で排除していることからも明らかです。

 もっとも,だからといって遺言についての制限が全くないわけではありません。15歳に達しない限り遺言はできません(民法961条)。
 また,成年後見に付された方が遺言する場合には,@事理弁識能力を回復した時の遺言であること,A遺言の際に2人以上の医師の立ち会いがあること(民法973条1項),B遺言に立ち会った医師が,遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して,これに署名し,印を押さなければならないとされています(民法973条2項)。さらに,民法966条は,第1項で,「被後見人が,後見の計算の終了前に,後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは,その遺言は,無効とする。」と規定し,第2項で「前項の規定は,直系血族,配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には,適用しない。」と規定しています。これは,後見人の不当な利益から被後見人を保護する趣旨の規定です。

 この点,被保佐人及び被補助人については,以上のような制限はありませんので,通常人と同様に遺言をなしうるようにも思えます。
 しかし,実際には,保佐相当,補助相当となった場合には,内容が複雑な遺言だと,本当にその遺言をされた方が自己の意思で遺言をしたかどうか後で争いになることがあります。そこで,保佐相当,補助相当となった場合には,遺言をする前に成年後見用の診断書を意思に書いてもらい,具体的な遺言内容を決めた上で,弁護士や公証人に相談してみることが必要だと思います。     
弁護士 田上尚志(平成25年10月18日,平成26年04月12日加筆訂正) 

 参考文献・HP

 有斐閣双書民法(9)相続[第4版増補版](遠藤浩・川井健・原島重義・広中俊雄・水本浩・山本進一編集 有斐閣)

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